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避難指示

[evacuation order]

河田惠昭(関西大学社会安全学部教授)

 避難情報の1つ。避難情報は従来、「避難勧告」「避難指示」の2つに分かれていたが、2021年5月20日の災害対策基本法の改正に伴って、避難指示に一本化された。
 まず、2019年6月より、避難に関する情報や防災気象情報等の防災情報を5段階の「警戒レベル」を用いて伝えることになった。この時点では、危険なほうから2番目の段階を指す「警戒レベル4」で「避難指示(緊急)」か「避難勧告」のいずれかが市町村から発令されることになっていた。しかし、市町村にいずれを選択するかの判断を任せていたために、隣接する市町村間で避難指示と避難勧告が混在するという事態が発生した。また、住民にとって両者の明確な区分が理解しにくいこともあって、避難にあたり混乱が生じ、ひいては避難する住民が極めて少数にとどまることが問題であった。
 実際に、2019年東日本台風(台風19号)2020年7月豪雨においても、多くの住民が避難の遅れなどにより被災した。このことから、住民の「自らの命は自らが守る」意識の徹底が図られるとともに、避難情報のさらなる見直しが行われ、2021年5月20日以降は、住民が災害発生の危険度を直感的に理解し、的確な避難行動ができるように新たな避難情報を伝えることになった。その結果、警戒レベル4は市町村から「避難指示」が発令された段階を指し、対象地域の住民は全員速やかに危険な場所から避難するよう定められた。
 ただし、市町村から避難指示が発令された時点においても、災害発生時の初動対応を担う警察と消防の活動開始時期が明確ではなく、この点に関する改善が必要となっている。

著者情報

関西大学社会安全学部教授

河田惠昭

かわた よしあき

1946年生まれ。京都大学工学部卒、同大学院博士課程修了。工学博士。阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」センター長を兼務。2007年、国連SASAKAWA防災賞受賞(本邦初)、09年、防災功労者内閣総理大臣表彰、17年、アカデミア賞受賞。東日本大震災復興構想会議委員。中央防災会議防災対策実行会議委員。著書に『津波災害』(2010年、岩波新書)、『これからの防災・減災がわかる本』(2008年、岩波ジュニア新書)、『にげましょう』(2014年、共同通信社)、『日本水没』(2016年、朝日新書)など多数。

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