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なぜ改憲議論より、地位協定の改定が先なのか?

伊勢崎賢治(東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授)

 

殿垣くるみ(聞き手) いま改憲の議論が盛り上がっていると思いますが、この本(『主権なき平和国家』)では、「主権」「平和」ということを論じるのに、なぜ地位協定を取り上げたのでしょうか。

伊勢崎賢治 日米地位協定は、1960年に締結されましたが、それ以来変わっていません。これは異常なことなのです。それはなぜかというと、そもそも占領統治というのは、永久に(継続すること)はできません。(継続すると併合や侵略を禁じている)国際法に反してしまいます。
 だから、アメリカは、「疑似占領統治」をするための仕組みを作ろうとしたのだと思います。つまり、侵略者ではなく、植民地化でもないけれども、永久に日本に軍を置きたい――それを可能にしているのが、日米地位協定なのです。
 (日本は)世界で一番戦争をしているアメリカを、(在日米軍基地として)“体内”においているわけです。そのアメリカが戦争をしたら、日本は戦争をしていないといえますか? 国際法上(日本は戦争をしていないと)は認められません。
 交戦国から中立であるためには条件があるのです。すなわち、国土も空域も海域も使わせない、通過もさせない、そしてお金も出さない。これらがすべて満たされないと中立とはいえません。われわれは(これらの条件を)どれも満たしていないのです。つまり、アメリカが戦争をしたら、日本も戦争をしていることになるのです。
 (したがって、アメリカを“体内”に置いている日本においては)日米地位協定の事を考えずに、

“主権観”をもって戦争もしくは平和を考えることは、全く意味がないのです。

著者情報

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授

伊勢崎賢治

いせざき けんじ

1957年、東京都生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。インドに留学中、現地スラム住民の居住権をめぐる運動に関わる。国際NGOで10年間、アフリカの開発援助に従事。2000年より国連PKOの幹部として、東ティモールで暫定行政府の県知事を務め、2001年よりシエラレオネで国連派遣団の武装解除部長。2003年からは、日本政府特別代表としてアフガニスタンの武装解除を担った。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。著書に『武装解除 紛争屋が見た世界』(講談社現代新書、2004年)、『本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社、2015年)など。共著に『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』(集英社クリエイティブ、2017年)など。イミダスの連載「伊勢崎賢治・布施祐仁に聞く『日米地位協定と主権なき日本』」はこちら!

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