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連載

第14回 川上麻衣子さん(女優)

人生は猫がいるかいないかの2通り。猫のいない人生は考えられません。

川上麻衣子(女優)

加藤由子(動物ライター)

 川上麻衣子さんの著書『彼の彼女と私の538日』(竹書房)は、猫との日々をつづったエッセーですが、他の猫エッセーとは少し違う読後感がありました。川上さんの死生観が伝わってきたからです。冷静で毅然(きぜん)とした、それでいて優しい死生観でした。女優という職業故に、生とは何か、死とは何かについて自分なりの答えを求め続けているからなのかもしれません。会うのが楽しみになりました。

猫の模様の不思議

加藤 こんにちは。あら、お出迎えしてくれたのね。人なつこいコですね。いいモデルさんになってくれそうです。おお、もう1匹来てくれた。ありゃまあ、デカイですね。
川上 白黒の大きい猫が「アクア」。スコティッシュ・フォールドの男の子で、3月で17歳になります。こっちは「ココロ」で女の子。同じく3月生まれでもうすぐ2歳です。ココロの母猫は野良猫で、虐待されて瀕死(ひんし)の状態で保護されたそうです。そのとき、おなかに4匹身ごもっていて、帝王切開で生まれた中の1匹がココロです。当時、私は舞台公演があり面倒が見られなかったので、舞台が終わったころに引き取り手がなければ考えようと思っていたんです。そうしたらまだ2匹いて、知り合いが1匹引き取ってこのコだけ残ってしまったから、これも縁だと思って私が引き取りました。うちに来たときは生後4カ月でした。
加藤 あっ、ココロの特徴、見つけちゃった! シッポの先端がポチッと白い。
川上 そうなんです。あと脇の所にもちょっとだけ白いのがあります。
加藤 自分の猫の顔って飼い主はよくわかっているつもりでも、万が一迷子になって「この猫、お宅のですか?」って顔写真だけ見せられたら、案外わからないと思うんです。うちにもココロに似た柄の「ちび」という猫がいて、顔の特徴を覚えているつもりなんだけど、白い毛があるのは右だっけ? 左? と迷うときがある。だから、体のどこかにわかりやすい特徴があるといいですよ。絶対に顔だけでわかるというのは、飼い主の過信(笑)。
川上 動いている姿を見ればわかるかもしれないけど、顔写真だけだと確かに難しいかも。ココロは生まれた動物病院では「腕までキジちゃん」って呼ばれてたんですよ。他の3匹は足先だけが白くてソックスをはいているみたいだったのに、ココロのキジトラ模様は腕までなので。
加藤 猫の柄や色の発生って、背中側から下に伸びていくんですって。だから、どこまで伸びるかで柄に違いが出るんでしょうね。ココロはちょっとアンバランスにソックスをはいてしまったのね(笑)。
川上 へえ~、面白いですね。背中からマントを羽織ったような感じですかね。ココロは背中からキジトラが伸びて、足先までは届かなかったってことですね。
加藤 顔も濃い色は上から下に伸びるんですよ。アクアみたいな白黒も上が黒くて下が白。上が白くて下が黒いっていう柄はまず見かけないでしょ。あっ、ココロの特徴、もう一つ見つけた。鼻の周りに模様があって、ちょっと鼻クソ猫ですね(笑)。
川上 そうなんですよ。きょうだいはもっと鼻クソ猫でした(笑)。ココロは鼻の模様がちょっとハート形に見えるので、「ココロ」って名前にしたんです。
加藤 ホントだ、ハートに見える! かわいいですね。

猫3匹はちょうどいいバランス

加藤 ココロが来たときのアクアの反応ってどうでしたか?
川上 アクアはどうでもいいのか、ほとんど反応しなかったですね。
加藤 猫が好きな猫と、猫が嫌いな猫がいるんですよね。
川上 アクアは猫よりも人間が好きで、人にはすぐなつきます。ココロが遊んでほしくてアクアに近付くけど、アクアは面倒くさそうにして、ときどきシャーって怒ってます。
加藤 ココロはまだ若いからよく遊びますね。
川上 オモチャはシンプルなものでいいんです。うちの猫は髪の毛を縛るゴムとかにじゃれて遊ぶのが好き。高価なオモチャにはあんまり興味がありません。
加藤 うちも。買ってきて3秒で燃えないゴミ(笑)。お部屋にすてきなものがたくさん飾ってありますが、猫に落とされませんか?
川上 飾ってあるものは倒さないけど、ココロはちょっと目新しいものがあると、とりあえず落とさないと気が済まないみたいです。で、落としたときに私の顔をちらっと見て反応をうかがう。これ、ダメなやつ? みたいな(笑)。
加藤 うちは猫がものを落とすから、もう最初から落としておくしかない(笑)。で、だんだんものを置かなくなって部屋が殺風景になっていったけど、川上さんはすてきにものを飾っているので感心しました。
川上 しばらく子猫もいませんでしたからね。ココロが来るまで、アクアと去年の夏に19歳で亡くなった「リッカ」の2匹で、15年以上子猫と接していなかったので、猫ってこんなに跳ねるんだって、久しぶりに思い出しました。
加藤 うちの猫たちも10歳と18歳だから、子猫や若い猫の姿を見ると、猫ってこうだったって思い出しますよ。
川上 オモチャに向かってお尻振って飛びかかる姿とか、まだ子どもだなって思います。
加藤 もう1匹子猫がいるとココロの遊び相手にいいかもしれませんね。
川上 そうなんですよ。うちはずっと3匹体制だったので、3匹がバランスいいと思うんです。猫を飼い始めた最初の7年間は1匹だけで溺愛(できあい)していたんですけど、2匹になったときにこんなにいいものなんだと思いました。数は倍になったけど、気持ちや手間は半分で楽になった。そのときの2匹がすごく仲が良かったので、寄り添ってグルーミングし合っている姿を見たら、自分がそこに加われなくても見ているだけで幸せなんです。
加藤 わかる! 1匹だと「人間」対「猫」になって、「人間代表です」「猫代表です」「どうぞよろしくお願いいたします」って感じになるでしょ。2匹になると猫の社会を築きつつ人のほうも向いてくれて、より猫らしさが見られる。そこが面白いなあと思います。2匹だとうまくいかなくても3匹いると緩和されてうまくいくということもあるでしょ。
川上 ありますね。
加藤 やっぱり十猫十色でそれぞれ違うから、面白いんですよね。

猫から教えられる死生観

著者情報

女優

川上麻衣子

かわかみ まいこ

1966年スウェーデン・ストックホルム生まれ。14歳で女優デビューし、『3年B組金八先生』(TBS)の生徒役で注目される。以降、数々のテレビ、映画、舞台などに出演。2005年より、ガラスデザイナーとしても作品を制作し、各地で個展も開催。16年10月、スウェーデン直輸入の小物や家具などを販売するショップ「SWEDEN GRACE」を東京・谷中にオープンさせた。また、猫好きのために情報を発信するWEBマガジン「にゃなか」に、「にゃなか市長」として参加、フォトエッセーを連載中。
にゃなか http://nyanaka.com    
SWEDEN GRACE https://swedengracestore.com
(2017.01)

動物ライター

加藤由子

かとう よしこ

動物ライター、エッセイスト。「ヒトと動物の関係学会」監事。1949年生まれ。日本女子大学卒。大学では生物学(動物行動学)を専攻。移動動物園などを経てフリーライターになる。動物、特にネコの生態や行動学に精通し、ネコに関する書籍などを多数執筆している。ネコ関連の著書に、『雨の日のネコはとことん眠い』『ぬき足、さし足、にゃんこ足』(共にPHP研究所)、『ネコを長生きさせる50の秘訣』(サイエンス・アイ新書)、『猫の気持ちを聞いてごらん』(幻冬舎文庫)、『猫式生活のすゝめ』(誠文堂新光社)、『猫とさいごの日まで幸せにくらす本』(大泉書店)、『猫の気持ちは見た目で9割わかる!』(大和書房)ほか多数。

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