imidas - 情報・知識&オピニオン

連載

ヤウッカマー、ダイエット下着を買う!

子連れ・ババ連れ帰国旅行1

鈴木亜香里(地球市民の会ミャンマー駐在員)

(構成・文/井下優子)

 ミンガラーバー! こんにちは! 中国系ミャンマー人と結婚して、現在タウンジーという街に住んでいる鈴木亜香里です。タイトルの「ヤウッカマー」はミャンマー語で義母、姑という意味。なんとこの春、私の一時帰国にあわせて、義母も日本を訪れることに! 今回のシリーズでは、旅行中はもちろん、その前後の義母の爆裂ぶりを暴露しま~す! 日本語がわかる親戚ができたらやばいネタ満載。インターネットの翻訳機能の精度が上がらないことを祈るばかりです。

日本への旅行は最初で最後?

「日本に行くのは今回で最後! もう行きたくないっ!!」
 こう言ってブチ切れた義母。しかも、旅行前(苦笑)。
 私の一時帰国の日程が決まり、日本行きの航空券を手配したのは昨年(2015年)11月。義母の同行が決まったのは、その直後でした。
 ミャンマー人が日本へ行く際、まず必要なのがビザ。私の父を招聘(しょうへい)人として申請書類を整え、義母がヤンゴンの日本大使館に行ったのは12月のこと。ところが「ビザは3カ月間しか出せない。まだ早い」と追い返され……。
 だったら飛行機だけでも予約しておこうと航空会社に連絡すると、「ビザがない人には発券できません」……。
 日本へ行くのは4月なので、2月になって再度、義母は大使館へ行くと、まさかのやり直し! 事前に私がインターネットで調べて必要書類をそろえたのに、なんで~! 「日本語で書いてあったら読めない!」と叱られたそうですが、日本大使館でしょ!? 「住民票やIDカードの翻訳(英語か日本語)」と要綱に書いてあるし!
 ほかにも「翻訳者(私)の電話番号がない」「私と夫の結婚証明書を出せ」「私の夫のパスポートを持って来い」と、ワケのわからないことをたくさん言われ、追い返された義母。加えて、義母本人の収入証明や会社の登記書類、銀行通帳のコピーなど、要綱に記載されていない書類まで要求されたとか。
 全部やり直して行くと、今度は別の点を指摘されてやり直しの連続で、結局、義母は5回も日本大使館に行くハメに。冒頭のブチ切れは、これが原因だったのです。2012年に夫がビザを取得したときのやり直しは1回。申請から4日で取得できたのに、なんで~?
 家事や仕事はテキパキこなす義母ですが、もしかして事務手続きとかは鈍くさいのか? いや、義母と同様、何回もやり直しをさせられ、「こんなんだったら日本なんて行くか!」と怒って帰った人や、あきらめた人が何人もいたというので、義母の落ち度ではなさそうです。そんな脱落者もいる中、ようやくビザを取得できた義母ですが、その時点で飛行機代は昨年末より500ドル値上がり。どんだけ~!
 ま、行く前から「日本に行くのは今回で最後」と断言したのだから、私は今回だけ頑張ればOKってこと。この際、「2回目のビザ取得は簡単」という情報は伏せておくのが、正しい嫁のあり方ってもんでしょう。ウッシッシ!

涙! 義母にも若いころがあった!?

 多くの人があきらめたビザの取得を、義母はなぜ最後まで頑張ったのか?
 それは私が2人目を妊娠中だからで~す! 2歳半になり、動きが激しすぎるチッチ(長男の愛称)の世話をしたり、重たい荷物を持つために、「何が何でも行く!」と頑張ってくれたのでした。
 それほどまでに私の体を心配してくれるのは、義母にはつらい経験があるから。チッチを産んだとき、こんな話をしてくれたのです。さあ、ここからは涙を拭くティッシュのご用意を!
「本当は、アウンモーミン(私の夫=長男)の上にもう一人いたんだよ。だけど、姑が何もしない人でね。私は妊娠中も、姑がトイレに使う水くみをしなくちゃならなくて。それで流産しちゃったのよ」
 その後、4人の子どもに恵まれたものの、やはりお姑さんは何も手伝ってくれません。それでも貧しいから働かねばならず、いつも子どもを連れ歩くしかなかったといいます。
「ある日、アウンモーミンと妹を連れて歩いたのよ。両手に荷物をいっぱい抱えてね、妹はなんとか抱っこしてたんだけど、アウンモーミンが『抱っこして!』って、泣きわめいてね」
 仕方がないので道端で待たせておき、妹と荷物を家に置いてから迎えに戻ったこともあるそうです。
「私は若いころ、妊娠のことをよく知らなくてね、アウンモーミンを産んですぐに次の子ができちゃったから、すごく大変だったの。アンタも気をつけなさいよ」って、この流れでまさかの性レクチャー!? そんなこと、自分の息子に言ってください!
 
保育所に昼寝のスペースがないって…
 4人の子どもを産んだ義母ですが、私には「子どもは二人でいいからね」と言います。夫も同意見。理由は、育てるのにお金がかかるから。
 ちなみにミャンマーの一般的な家庭の子どもの数は、農村部では3~4人。もう少し年代をさかのぼって、30~40代では10人というのも珍しくありません。
 これに対して都市部は2~3人で、お金持ちの家は一人っ子が多いのが特徴。なぜなら、子育て・教育にたっぷりお金をかけるからです。
 子育てといえば、日本は保育所不足が社会問題になっていますよね。ミャンマーでは、村の保育園はそうでもありませんが、 町の保育所問題は「狭い」ということ。その原因は、近年の土地の値上がり。ミャンマーは私立の保育所が多く、儲けを優先して敷地を半分売ってしまうのです。半分になったスペースに、それまでと同数の子どもが詰め込まれるので、昼寝のスペースがなく、本当にウトウトしている子しか寝られないと聞きました。
 チッチも3歳になったら保育所に行かせようと思っているのですが、こっちの保育所は、生活態度があまりにも悪いと帰されてしまうので、ちょっと心配。実際、帰された子が近所にいるし、最近のチッチの暴れん坊ぶりはハンパないのです。
 タウンジーには英語で教育するインターナショナル系の保育所が多く、それも視野に入れていますが、両手を広げてジェスチャー交じりに英語でしゃべるインター小僧になると、ちょっとウザイかも。ま、時間をかけて選びましょう。

義母だって、女ですもの

 さて、義母とて女。旅行前にいちばん気にしていたのが、服の準備です。
 日本は暑いのか寒いのか、長袖は必要かなど、何度も同じことを聞くので、夫はついに「タウンジーの服は超村人っぽいから、持って行くな!」と。それでも「服を買いに行かなきゃ!」と繰り返すので、私も「日本で買えばいいじゃん」とアドバイス。
 結局、義母は私たちの言うことを聞いて、タウンジーでは洋服は買いませんでした。で、代わりに買ってきたのがダイエット下着!
 1年ほど前からひざが痛いと言い始めた義母は、サプリメントを注文したり、毎月、飛行機でチェンマイの病院まで治療に通ったり。その原因は、過体重だと自覚しているのでしょう。「日本でいっぱい歩かなきゃならないから、ひざが痛くなったら困る」と、市場のバーゲンで買ってきたのが、ダイエット下着だったのです。
 でもね、お義母さん、ダイエット下着は体形を矯正するものであって、体重は落ちないから……。
 さて、準備段階からこんな騒動でスタートした今回の旅行、この先の展開やいかに!
まぁ、旅行のワクワク感は準備のときから始まりますからね。家族で旅行代理店を経営し、韓国人と結婚した義母の次女がロンドンに住んでいるので、義母はしょっちゅう飛び回っていて、一年中ワクワクして幸せそう。
 うらやましいなぁ、私もあちこち行きたいなぁ! 義母みたいに息子たちのお金で(笑)。そのためには、子どもは二人じゃ少ない! たくさん産んで、世界中に散らばらせておかねば!

著者情報

地球市民の会ミャンマー駐在員

鈴木亜香里

すずき あかり

1985年生まれ。東京外国語大学ビルマ語専攻卒。コンサルティング会社勤務を経て、佐賀県の認定NPO法人「地球市民の会」ミャンマー駐在員に。南シャン州のタウンジーという町に暮らし、農業支援、教育支援、地域開発、環境保護などのプロジェクトを行う。公的活動の一方で、2010年、現地で知り合った中国系ミャンマー人のイスラム教徒と結婚、自らも改宗してイスラム教徒となる。13年末、長男を出産。なお、現地では中国系イスラム教徒は「パンデー」と呼ばれ、特別なコミュニティーを形成している。

関連記事

新着記事

imidasの更新情報をお届けします。