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経済万華鏡

気になる「DE言葉」リスト

浜矩子(同志社大学大学院ビジネス研究科教授)

 近頃、どうも“DE”で始まる単語が気になります。さしあたり頭に浮かぶ「DE言葉」を列記してみれば、次の通りです。

DEGLOBAL,  DECOUPLE,  DEPOPULATION,  DEFORESTATION

 DEGLOBAL(ディグローバル)は「グローバルでなくなる」の意です。グローバル化という現象は返らざる川だ。ほんの少し前までは誰もがそう考えていました。ところが、いまや、この「ディグローバル化」という言葉が当たり前のように英語メディアに登場するようになりました。
 我が国ファースト主義が前面に出る。貿易戦争が火を噴く。国境を越えた生産体系が破断される。これらのことが、グローバル時代の終焉を到来している。そう考え始めた人々が増えているということです。そこに今回の新型肺炎問題が加わって、ますます、グローバル化の逆流を見込む向きが増えることになりそうです。

 DECOUPLE(ディカップル)は「カップルではなくなる」です。くっついていたものが離れるということです。アメリカと中国はすっかりディカップルしてしまった。イギリスはEUからディカップルした。こういう風に使います。DEGLOBAL化が進めば、それに伴って様々な国々の間でDECOUPLE化も進むことになるでしょう。世の中、政治経済的な離婚カップルだらけになってしまうというわけです。

 DEPOPULATION(ディポピュレーション)は「人がいなくなる」つまり人口減少です。人口減少問題といえば日本。少子高齢化といえば日本。我々は、すっかりこのように思い込んできましたね。ところが、ふと気がつけば、そうでもなくなっているのです。思えば、中国の少子高齢化問題は何かと話題になって久しいですよね。ですが、それだけでもありません。ヨーロッパでも、実は人口減少が深刻化しているのです。
 先ごろ、EU(欧州連合)の輪番議長国となったクロアチアが、この問題について警告を発し、EU挙げて人口減少の食い止めに乗り出すべきだと主張しました。そのクロアチアを始め、多くの東欧諸国が人口減に危機感を持ち始めています。人がいなくなりつつある要因は二つです。第一に出生率の低下。第二により豊かな西欧諸国への人口流出です。「そして誰もいなくなった」そうならないための対策が急がれる。そう主張する論者が増えてきました。
 イタリアでも、スペインでも、ポルトガルでも、出生率の低下は顕著です。将来に希望を持てそうにない。そう思う若い夫婦たちが子どもを持つことにためらいを感じているのです。

 DEFORESTATION(ディフォレステーション)は「森ではなくなる」です。森林減少問題ですね。多くの国々や地域でこの現象が深刻化していることも、ご承知の通りです。

 こうしてみると、「DE言葉」は何かにつけて怖いですね。これだけ世の中に「DE言葉」がはびこってくるのはどういうわけか。考え込んでしまいます。

 もっとも、現状においてはとても良い響き、有り難い響きを持つ「DE言葉」が一つあります。それは、DECONTAMINATION(ディコンタミネーション)です。「汚染された状態でなくする」つまり除染です。コロナウイルスに汚染された状態から、世界をはやく「DE」して欲しいですね。

著者情報

同志社大学大学院ビジネス研究科教授

浜矩子

はま のりこ

1952年生まれ。一橋大学経済学部卒。三菱総合研究所ロンドン駐在員事務所長等を経て、現在に至る。『グローバル恐慌』『スラム化する日本経済』『ユニクロ型デフレと国家破産』『浜矩子の「新しい経済学」~グローバル市民主義の薦め~』など多数の著書がある。

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