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一語千金

国債

[government bonds]
政府の親子2世代ローン

玉手義朗(エコノミスト)

 国債は「国庫債券」の略で、政府が借金をした際に発行する借用証書である。期間は10年が中心だが、長いものでは30年のものもある。現時点で発行された国債の償還、つまり借金返済をすることになるのは、10~20年後の満期を迎えた世代となる。これは、親の借金を子供が支払う「親子2世代ローン」に他ならない。
 世代間の不公平を生むことから、国債の発行には制限がある。法律上認められているのは、道路や港湾、学校などの公共事業のために発行されるもののみ。財政法第4条によって発行が認められている、いわゆる「建設国債」(4条国債)だ。
 「建設国債」の発行が認められているのは、親が国債という借金をして造った橋や学校などは、借金を返す子供の世代も利用できるという考え方に基づいているからだ。「親子2世代ローン」で家を建てた場合、やがてはその家に住めることから、子供も納得出来るだろうというわけだ。
 「建設国債」が、子供世代も使えるものを残すのに対して、「赤字国債」は何も残さない。「赤字国債」は、政府の歳入不足を補うために発行されるもので、社会保障費や人件費など、発行された世代で使い切ってしまう支出をまかなう。親が旅行したり、おいしいものを食べたりと、収入以上の支出をして作った借金を、子供が支払うことになるのだ。子供としては納得出来ない。世代間に大きな不公平を生むことから、「赤字国債」は原則発行禁止で、そのつど特別立法を行い、国会の承認を得る必要がある。しかし、現実には発行が恒常化、歯止めなく借金が増えているのだ。
 どんな用途に使われようと、親が子供に借金をするのは、望ましいことではない。しかし、子供に借金をしなければ、生活が成り立たないのが日本の現実だ。政府は現在最長の30年国債に加えて、40年という超長期国債の発行も計画している。これでは、「親子2世代ローン」どころか、「親子孫3世代ローン」となってしまう。子供、そして、孫から非難されることのないように、まずは支出を削減、生活態度を徹底的に改めることが、今の政府に求められている。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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