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一語千金

損益計算書

[profit and loss statement]
企業の収入と支出の集計

玉手義朗(エコノミスト)

 損益計算書は、決算報告書という「企業の家計簿」の中でも、最も重要なものだ。企業の収入と支出を集計し、最終的にどれだけの利益を上げたのか、あるいは損失になったのかを示す経営成績表で、英語のprofit and loss statement(略してP/L)が、その本質を端的に示している。
 数字が並び、難解な印象を受ける損益計算書だが、基本は家庭の家計簿と同じだ。サラリーマンの家計簿では、会社から受け取った給与から、衣食住などの生活費を差し引き、お金がいくら残ったか、あるいは足りなくなったかが分かる。
 企業の場合、家計の給与に相当するのが、商品などを売って得られる「売上高」だ。これが増えれば増収、減れば減収と言われる。一方、生活費に相当するのが原材料費などの「売上原価」と人件費などの「販売・一般管理費」だ。そして、売上高からこれらの支出を差し引いたものが「営業損益」で、プラスなら営業黒字、マイナスなら営業赤字となる。
 「営業損益」は、企業の根幹事業の業績が反映されることから、「本業の損益」と呼ばれることもある。これに対して、本業以外の「副業の損益」も存在する。サラリーマン家庭の場合、会社からの給与以外に、預金の利息や株式を売却した際の利益、資産家でアパート経営をしている人なら、その収入もあるだろう。企業も同様で、メーカーが本業とは別に、不動産事業を展開するなど、様々な副業を行っている。そこで、こうした副業の収支は「営業外損益」として別に集計されるのだ。保有している株式の損益や、外国為替相場の変動に伴う「為替損益」などもここに含まれる。
 そして、「営業損益」と「営業外損益」を合わせたものが「経常損益」となる。経常という言葉は少々分かりにくいが、英語ではordinary(日常的な~)となる。本業であれ副業であれ、企業が日常的に行っている事業の収支をまとめたものが、経常損益(ordinary profit)となるわけだ。
 この「経常損益」が、決算発表で最も注目される数字だ。これが増えると増益、減ると減益となる。そして、売り上げが増えて、さらに経常利益も増えた場合を「増収・増益」、売り上げも減り、利益も減る厳しい状況を「減収・減益」、売り上げが減っても支出を減らして利益を引き上げた場合を「減収・増益」などと呼ぶ。
 さて、「日常的な~」という意味の「経常損益」があるとうことは、「日常的ではない」損益が存在することになる。サラリーマン家庭の場合、台風で家が壊れたり、大きな病気をしたりという不意の支出や、宝くじに当たるといった予想外の収入が発生することがあるだろう。企業の場合も同様だ。そこで、その時限りの収入を「特別利益」、支出を「特別損失」(しばしば特損と略される)として集計している。具体的には、自然災害で損失が発生したり、損失を抱えていた子会社を処分した場合などに計上される。
 そして、この「特別損益」を「経常損益」に加えたものが、「税引き前当期純損益」となる。さらに、ここから税金を支払ったものが最終的な損益で、「税引き後損益」、あるいは「最終損益」と呼ばれている。
 損益計算書は、一般家庭の家計簿と同じであり、決して難しいものではない。頭の中に家計簿をイメージしながら解読し、そこに記されている企業の経営成績を把握したい。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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