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一語千金

東証株価指数

[Tokyo Stock Price Index]
日経平均株価と並ぶ株価の指標

玉手義朗(エコノミスト)

 テレビで株価のニュースを流す際に映し出される東証アローズ。かつては「場立ち」と呼ばれた人々が手サインで取引をしていた、東京証券取引所(東証)のフロアに設けられた情報提供スペースで、株価を示すリング状の電光掲示など、未来的な雰囲気に包まれている。
 時々刻々と動く株価が示されるアローズにあって、なぜか15分に1度しか更新されないものがある。株式市場を代表する指標、日経平均株価だ。日経平均株価は1分ごとに算出されているのだが、東証の思惑で、わざわざ15分遅れでしか表示が変わらないのだ。その理由は、東証が独自に算出している「東証株価指数」を前面に押し出すためだと、考えられているのである。
 東証株価指数は、TOPIX(Tokyo Stock Price Index)とも呼ばれる株価指数で、1969年7月1日から公表が始まった。日経平均株価から遅れること20年の「新参者」で、公表開始後もあまり注目されることはなかった。しかし、日経平均株価に比べて幾つか優れた点があることから、注目度が次第にアップ。東証も、認知度を高めるための様々な作戦を展開し始めたのである。
 日経平均株価が、1700社以上ある東証1部上場企業のうち、225銘柄のみを対象としているのに対して、「すべての銘柄の値動きを示すTOPIX、東証株価指数は、前日より○ポイント上昇して…」とNHKのニュースが伝えているように、TOPIXの最大の特徴は、すべての銘柄を網羅して算出されているという点だ。
 また、算出方法も、日経平均株価が株価だけを対象としているのに対して、TOPIXは、株価に発行されている株数も加味している点が大きく異なる。
 具体的な算出法だが、まず、株価に発行されている株数をかけて時価総額を計算する。これを上場しているすべての銘柄について行い、その合計金額を、基準日の市場全体の時価総額(1968年1月4日の8兆6000億円)を100として割り算し、指数化する。その上で、新規上場や上場廃止などの調整も行って、指数の連続性も確保しているのである。
 日経平均株価に比べて「新参者」のTOPIXだが、すべての銘柄をカバーしている上に、発行株数も考慮されていることから、株式市場の動きをより広範囲に、しかも正確に示すとされている。そのため、ファンドマネジャーやアナリストなど、株式投資の専門家は、日経平均株価ではなく、TOPIXをベンチマーク(基準)として、その動きを細かくチェックしている。株式投資のプロたちに「愛用」されているTOPIXが、NHKの株式情報でも、日経平均株価に先だって伝えられるようになったのも、こうした背景があるのだ。
 しかし、一般的には日経平均株価の方が、通りがよいことも事実。日経平均株価が長年慣れ親しまれてきた指標であることに加えて、TOPIXが「1530.45 前日比+20.23」と、単位のない数字の羅列であるのに対して、日経平均株価には、「1万7500円50銭で前日比50円高」といった「値段」が付けられていることも、大きな要因だろう。
 TOPIXを、株式市場の中心指標に押し上げたい東証だが、思うに任せないのが実情だ。しかし、株式指標としてはTOPIXの方が優れているのは確かなこと。日経平均株価だけでなく、TOPIXもしっかりとチェックすることが、株式市場の動向を把握する上での「上級者」ということになるのである。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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