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一語千金

デューデリジェンス

[due diligence]
会社の価値を査定する

玉手義朗(エコノミスト)

 「エンジンの調子は? カーナビはついているのか? 隠れたところにキズはないか?」。中古車を選ぶ際、私たちはいくつもの店を回り、売られている車を隅々までチェック、お買い得の1台を探して回る。
 企業を中古車と考えると、その値踏みに相当するのが「デューデリジェンス」だ。企業を買収しようとする際、その売値は時価総額(株価×発行株式数)で示される。しかし、それが企業の本当の価値であるとは限らない。株価が割安で「お買い得」である場合や、反対に株価が過大評価され、買収して大損するケースもある。
 そこで、買収を行う場合に企業を徹底的に調べ上げ、本当の価格を探ることが必要となる。この作業がデューデリジェンス、略して「デューデリ」である。
 デューデリジェンスではまず、生産性や収益力、技術力など、企業の根幹部分がチェックされる。その際、現在の状況のみならず、将来性についても綿密に検討される。これは、エンジンなど、自動車の根本的な性能である「走行性」を調べ上げること。今は調子がよくても、数年後にガタがくるようなことがないかについても、しっかりチェックしようというわけだ。
 次に、企業が持っている資産を査定する。中古車を買う場合、本来の装備のほかに、カーナビやETCの有無、シートや室内装備のグレードなども、重要な要素となる。企業の場合も同様で、本社は自社ビルなのか、工場はどれだけの土地と設備を持っているのかなどが、生産性や収益力とは別に調べられることになる。
 さらに隠された法令違反などがないかもチェックされる。買収した後で、とんでもない不祥事が明らかになれば、大損することになるからだ。過去に大きな事故を起こしていながら、それを隠して、ピカピカの車に見せかけていないかを見極めるというわけだ。
 デューデリジェンスでは、これ以外にも様々な要素がチェックされる。そして、「お買い得」となれば、その企業の買収に動くことになるわけだ。
 企業という大きな買い物をする際の品定めとなる「デューデリジェンス」。due(当然の)diligence(努力)という言葉の意味の通り、企業買収では必要不可欠で、必ず行わなければならない重要なプロセスである。これを徹底することで、とんでもない欠陥中古車を見分け、お買い得の1台を買うことができるのである。

著者情報

エコノミスト

玉手義朗

たまて よしろう

1958年生まれ。筑波大学卒。東京銀行、マニュファクチュラース・ハノーバー銀行などで、外国為替取引に携わる。その後、テレビ局で経済部デスクなどを経て、現在はフリー。著書に『円相場の内幕』(1995年、集英社)、『経済入門』(共著、2004年、ダイヤモンド社)がある。

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