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達人の家電選び・オーブンレンジ編

カタログの読み方(16)

鴻池賢三(DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー)

 冷めたご飯や料理を手軽に温められる機器として、電子レンジは日本の食生活に必須のアイテムです。オーブン機能も標準的になるなど、調理器具としても注目されています。基礎知識から最新機能、使いこなし術まで幅広く紹介します。

電子レンジにオーブンレンジ?

 オーブンレンジは、電子レンジにオーブン機能を兼ね備えた調理家電です。電子レンジは、電磁波で食材の水分を振動させ、その摩擦による発熱を利用するため、少ない電力で食材を効率よく温められるのが特長で、冷凍食材の解凍や調理済み料理の再加熱に向いています。一方、オーブンはトースターのように食品を外部からヒーターで加熱し、焦げ目も付くので、生の食材を調理するのに向いています。オーブンレンジは同じスペースで二役こなせるだけでなく、機能の併用で素早くエネルギー効率の高い調理ができるメリットがあります。

注目の最新機能!

もう失敗しない! センサー自動調理
 食品を温め過ぎてパサパサにしてしまったり、真っ黒に焦がしてしまったりする失敗は誰にでもあるはずです。かといって、忙しい夕食の準備時間に、焼き加減をずっと見張るわけにもいきません。最新の自動調理機能をもつ製品は、重量や食品の温度を測定するセンサーを搭載し、加熱加減や調理時間を自動調整してくれるので、失敗がありません。何より、できあがりのアラーム音が聞こえるまで、安心して他の用事ができるのは重宝です。
時間短縮! 2品同時調理
 出勤前のあわただしい朝食や、帰宅後の調理など、時間に余裕のない家庭にうれしいのが、2品同時調理機能です。例えば、(1)庫内を仕切り、オーブン機能とレンジ機能とを併用して焼き魚と煮物を同時に調理できるものや、(2)庫内に置いた二つの食品の温度と位置を把握して、電磁波を集中させるポイントをコントロールすることで、みそ汁の温めと冷凍ご飯の解凍を同時におこなえるものなど、飛躍的な進化を遂げています。
水で焼く? スチーム機能
 水で焼くと聞くと、不思議に思われるかもしれません。液体には、沸騰のきっかけを失って、沸点を超えても温度が上昇する「過熱」という状態にいたる性質があり、水蒸気をヒーターで加熱すれば、300~400℃程度の過熱水蒸気にすることができます。その過熱水蒸気はヒーターと同様に、焦げを付けて食材を焼くことができます。過熱水蒸気によるスチーム機能は解凍や温めはもちろん、水蒸気を用いるために蒸し物にも向いていますし、驚くことに揚げる調理も可能です。また、焼き物や揚げ物なら、蒸気の水分が余分な塩分や油分を洗い流してくれるので、ヘルシーに仕上がります。また、電磁波を使わないので、金属製の缶に入った食材をそのまま温めるなど、レンジやオーブンの機能では不可能な離れ業もこなします。ただし、ちょっとご飯を温めるときなどは、レンジ機能のほうが加熱時間や消費電力は少なくて便利です。

レンジ機能を使いこなそう!

基本は「丸」で上手な加熱
 レンジ機能は大変便利ですが、どんなに進化しても、端は温かいけど中が冷たいなど、理想的な解凍や温めは難しいものです。これは、原理上仕方のない部分もあり、ユーザーの工夫が大事となります。食品の冷凍時には、原則として角をなくし、均一な厚さにすることです。レンジ機能は電磁波を利用しているので、角は電磁波が通り抜ける回数が他の場所よりも多くなり、早く加熱されてしまいます。例えば、ご飯なら、一膳分を厚さ1cmくらいの丸いせんべい状に整形しましょう。同様の理由から、カレーやシチューを温める場合も、角のない丸底の容器を使うのがおすすめです。
食材はどこに置くとよい?
 ターンテーブルのあるレンジは、できる限り食品を端に置きましょう。電磁波にムラのある庫内でも、食品が大きく移動することになるので、加熱ムラが少なくなります。対して、ターンテーブルのないレンジは、底に電磁波を発生するアンテナが仕込まれていて、所定の位置が最も効率よく温まるように設計されています。いずれも、加熱ムラが気になる場合は、一度に加熱せず、置き場所を変えたり、向きを変えたりと、何度かに分けて加熱するとよいでしょう。
便利の裏に潜む危険
 例えば、から付きの卵やゆで卵をレンジで温めると、加熱によって発生した水蒸気で内部の圧力が高まって100℃以上になり、ゆで卵を口に入れた瞬間、減圧によって水蒸気が一気に膨張して破裂することがあり、大変危険です。また、液体を温める際にも、先のスチーム機能の項で述べた「過熱」の状態になるケースがあり、庫外へ出した衝撃で、一瞬にして沸騰する「突沸」という現象が起こることがあります。液体を温めるときは、設定時間を控えめにし、様子を見ながら加熱しましょう。

レンジ機能の面白雑学

「500W」や「1000W」の意味は?
 電子レンジやオーブンレンジには必ず、「500W」や「1000W」といった表示があります。これは「消費電力」ではなく、「熱せられる能力」、すなわち仕事量を表しています。つまり、省エネ性能が低い製品は、同じ1000Wの仕事をするにも、より多くの電気を消費します。また、食品が少ないほど、食品に吸収されないまま無駄になる電磁波が増えて、表示よりも仕事量は少なくなってしまいます。レンジで温める際は、一度にできるだけたくさん加熱するほうが省エネにつながります。
温まるのは中から? 外から?
 電子レンジを使うと、中から食品が温まるようにいわれますが、実際には、水分の多い所から温まります。例えば、まんじゅうの場合、中のあんや具に水分が多ければ内部が先に温まりますし、逆に皮のほうが水分が多ければ、外側から先に温まるなど、一つの食品でも意外な温度差が生じるケースが多々あります。

商品選びの最終チェック

 オーブンレンジを選ぶときに迷うのが庫内の容量です。大き過ぎる庫内に小さな食材を入れて加熱すると、無駄な電力を消費してしまいます。しかし、オーブンレンジの場合、耐熱容器などを使うケースもあるので、庫内の容量は少し余裕をもって選びたいものです。特に高さがネックになることが多いので、購入前には、お手持ちの容器の高さをチェックしておくとよいでしょう。

著者情報

DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー

鴻池賢三

こうのいけ けんぞう

1969年生まれ。大手AV機器メーカ一、米シリコンバレーの半導体ベンチャー企業を経て独立。商品企画・技術コンサルティング業を軸に、情報サイト『All About』をはじめ、新聞、雑誌、テレビなどでアドバイザーとして、また『ビジュアルグランプリ』(音元出版主催)の審査員、日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員を務めるなど幅広く活躍中。日本で唯一のISF認定映像調整技術者でもある。

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