カタログの読み方(8) ビデオムービー編・後編
鴻池賢三(DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー)
一昔前のプロ用機材さえ凌駕する、昨今のビデオムービー。前編では、基本機能に関する解説をしました。後編では、現実の使用場面を想定した解説をしましょう。ビデオムービーの用途は人それぞれです。「お子さんの日々の成長、運動会やファミリーイベントなどを記録したい」「旅行先で出合った美しい風景を記録したい」「毎日持ち歩いて仕事のメモ代わりに記録したい」などなど、それぞれの使用場面を明確に想定し、適切な機能を見分けることで、あなたに最適の1台を見つけましょう。
ムービーの生命線、各種「撮影機能」は要チェック!
室内での撮影が多いなら、広角撮影を重視しましょう。通常の撮影時よりも広い視野で撮影できるので、狭い部屋での撮影に適しています。
レンズが高性能で明るい、つまりF値の数字が小さい高感度撮影を重視したモデルなら、被写体のブレが少なく、消灯後のお子さんの寝顔などもクリアに撮影できます。
運動会など、被写体になるお子さんが屋外で活発に動き回るような状況での撮影なら、高倍率の光学ズームレンズと、光学式手ブレ補正機能を重視しましょう。高倍率のズーム機能があれば、遠くにいるお子さんも、アップでキレイに撮影できます。その半面、ズーム倍率が上がるほど、手ブレの影響が大きくなるので、手ブレ補正が効果を発揮します。特に光学式なら、電子的な計算でデータを補完するデジタル式(電子式)に比べ、画質の劣化がありません。
旅行先で出合った、萌えるような新緑、抜けるほど鮮やかな南国の青い海、色とりどりの紅葉など、鮮烈な情景を記録するなら、「xvYCC (x.v.Color)」対応の製品がおすすめです。「x.v.Color」対応のテレビと組み合わせることで、テレビ放送よりも色域が広く、純度の高い色彩を堪能できるので、現地で見たときの感動がよりリアルによみがえるはずです。
また、常に良好な撮影をするためには、最新機能にも注目しましょう。たとえば、顔検出機能です。映像を撮るとき、露出やピントは顔に合わせたいもの。この機能があれば、顔が黒つぶれしたり白飛びしたりせず、ピンボケを防ぐこともできて、大変有用です。
ここの使い勝手を見落としたらアウト!
運動会やイベントなど、大切な時間の記録を目的とした撮影では、「気がついたときが撮りたいとき」です。スイッチオンから撮影できる状態になるまでの起動時間が短いほど、チャンスに強いといえます。この起動時間は、ゼロに近い高速なものもあれば、10秒程度かかるものまであり、様々です。
夜景や消灯後の部屋など暗い場所での撮影は、映像がザラツキがちです。低照度下での撮影能力は、「5ルクス」などの数値で判断するのではなく、量販店などで実際に手にとって見られるのなら、モニターで実際のザラツキ感を比較するのが重要です。
モニターが大きく、解像度が高い機器では、撮影時の被写体の確認が容易です。たとえば、運動会で撮影する際に大勢の中からお子さんを探す場合など、モニターの大きさと性能次第でチャンスにも強くなります。
また、ビデオムービーは、高倍率の光学ズームを搭載しているので、実はデジカメとしても面白い使い方ができます。静止画撮影時の画素数や、動画撮影中に静止画が撮影できるかもチェックしましょう。
撮影後の「どうしよう?」
せっかく撮影しても、撮りっぱなしで整理をしなければ、あとから見るのもおっくうですし、大切な記録を紛失する危険もあります。できれば、撮影直後に編集し、適切な記録メディアに残すのが理想的です。HDD(ハードディスクドライブ)や半導体メモリータイプのビデオムービーでは、撮影後にデータを光ディスクに移すバックアップの作業が必要なので、この工程の利便性が鍵になります。最近では、BD(ブルーレイディスク)やDVDのレコーダーとの連携や、より簡単にDVDにデータを書き込める専用DVDライターが使える製品もあるので、考慮しておくとよいでしょう。ハイビジョン映像はデータ量が多いので、長期保存を望むなら、現状で最も記憶容量の大きいBDに残すことも考えましょう。
最後に
ビデオムービーの良しあしは、用途によって異なります。むやみに高価な製品やハイスペックな製品が有用とは限りません。賢い買い物をするためには、まず目的をはっきりとさせることです。毎日持ち歩くような使い方ではないのなら、むやみに小型を選ぶのは考えものです。高価なうえ、画質面でも不利になります。最近では、HDDやメモリータイプの機種が人気ですが、パソコンが苦手な方の場合、これらと連携するレコーダーや専用のライターが不可欠になってしまいます。撮るだけでなく、「残す」ときの利便性も、十分に吟味して製品を選んでください。
著者情報
DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー
鴻池賢三
こうのいけ けんぞう
1969年生まれ。大手AV機器メーカ一、米シリコンバレーの半導体ベンチャー企業を経て独立。商品企画・技術コンサルティング業を軸に、情報サイト『All About』をはじめ、新聞、雑誌、テレビなどでアドバイザーとして、また『ビジュアルグランプリ』(音元出版主催)の審査員、日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員を務めるなど幅広く活躍中。日本で唯一のISF認定映像調整技術者でもある。