カタログの読み方(6) 地デジチューナー編
鴻池賢三(DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー)
地上波アナログ放送が終了し、「地デジ」こと地上デジタル放送へと完全移行する2011年も3年後に迫りました。従来のアナログテレビのままでは、テレビ放送が見られなくなるので一大事です。そこで活躍が見込まれるのが、アナログテレビに地デジ放送を映すための地上デジタルチューナー(地デジチューナー)ですが、手軽な製品にはデメリットもいっぱい。よく知って選ばないと、「デジタルテレビに買い換えた方がよかった…」ということになりかねません。無駄なくスマートに地上デジタル放送へ乗り替えるには?
注意! 地デジチューナーは万能ではない
地デジチューナーは、アナログテレビを活用し、低コストで地デジ放送を見るための、あくまで「簡易策」です。お手持ちのテレビが、高精細なハイビジョン放送を試聴できるデジタルテレビと同等になる訳ではありません。地デジ放送の目玉であるハイビジョン映像が楽しめるかどうかは、地デジチューナーとテレビの機能や性能によります。また、デジタル放送の標準的な機能であるデータ放送、双方向サービス、電子番組表機能(EPG)、BS放送や110度CS放送などに対応していないケースがほとんどなのです。
覚悟しておくべきポイント!
まず、肝心の映像について。地デジ放送は横縦比が16:9の横長映像が基本です。旧来の4:3の画面のテレビに地デジチューナーを接続すると、映像の左右が切れる、または上下に黒い帯が入って、その分映像が大幅に小さくなってしまうケースや、最悪の場合、四方が黒い帯に囲まれた「額縁映像」になるケースもあります。
操作面では、音量調整にテレビのリモコン、チャンネル変更に地デジチューナーのリモコンと、二丁拳銃状態となり、高齢者や小さな子供などには使いづらくなります。
コストの面では、地デジチューナーが安価であっても、テレビが寿命に達してデジタルテレビに買い替える際には、地デジチューナーは不要となり、無駄になってしまいます。テレビの寿命が近い場合、一気にデジタルテレビを買う方がお得なこともあるのです。
どれも同じではない! 製品選びのチェックポイント
(1)HDMI、D4/D5端子を搭載か否か?
放送をハイビジョン画質で楽しむには、テレビとチューナーにHDMIまたは同様の機能をもつD4端子やD5端子が搭載されている必要があります。お手持ちのテレビにこれらの端子がない場合は、ハイビジョン画質では映らないので、HDMIやD4/D5端子を搭載してない、比較的廉価なタイプのチューナーで十分です。むやみに高機能なものを選ばず、無駄をなくすと節約につながります。
(2)テレビの操作が出来るリモコンが付属しているか?
地デジチューナーに付属するリモコンが優れていると、テレビの音量や入力切り替え操作も行えるため、リモコンを一つにまとめることができます。ただし、操作できるテレビは、大手メーカー製品に限られますので、ご注意を。
(3)画面サイズが調整できるか?
先述の通り、4:3のテレビで地デジを見る場合、上下に黒い帯が入ったり、額縁のように小さな映像になってしまうケースがあります。映像の左右をカットして拡大するパンスキャンや、拡大(ズーム)など、画面サイズが調整できると快適です。
他の選択肢もある!
番組の録画もするなら、地デジチューナーを搭載した各種レコーダーを購入しましょう。録画しないときでも、地デジの試聴に使えるので、合理的です。
また、トランスモジュレーション方式のケーブルテレビ(CATV)に加入している、または加入するなら、地デジチューナーは不要です。無駄な買い物をしないためにも、CATV会社に確認・相談することをお勧めします。なお、CATVは月額の使用料が発生するため、アンテナ受信に比べてランニングコストは高くつくので、ご注意を。
メーカーが違っても中身が同じ?
地デジチューナーを製造できるメーカーは、数少ないのが事実です。メーカー名が違っても、元は同じ製品(OEM)である場合が多々あります。見分け方は、筐体(きょうたい)のサイズやボタン配置、端子、機能など。似通っていれば、中身が同じ可能性が大です。メーカー名に関係なく、品質や性能はほぼ同等といえますので、値段が安い方がお得です。
今の製品の完成度は?
性能や品質面で完成度は十分ですが、価格が1.5万~2万円前後と高価です。今後は、2011年に向け、ハイビジョン画質に非対応で機能もシンプルな、さらなる簡易型の廉価版が登場する予定です。また、公的な補助金も検討されており、より低コストで入手できる可能性があるので、できる限り11年のアナログ停波直前まで待つのが得策といえます。
著者情報
DAC JAPAN代表/THX認定ホームシアターデザイナー
鴻池賢三
こうのいけ けんぞう
1969年生まれ。大手AV機器メーカ一、米シリコンバレーの半導体ベンチャー企業を経て独立。商品企画・技術コンサルティング業を軸に、情報サイト『All About』をはじめ、新聞、雑誌、テレビなどでアドバイザーとして、また『ビジュアルグランプリ』(音元出版主催)の審査員、日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員を務めるなど幅広く活躍中。日本で唯一のISF認定映像調整技術者でもある。