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漢方の知恵で成功させるダイエット

体質別に見た「最適なやせ方」を漢方医が指導

木村容子(東京女子医科大学東洋医学研究所副所長・准教授)

 薄着になるこれからの季節、どうしても自分の体のラインが気になって、ダイエットへのインセンティブが働きやすいものです。だけど気をつけてほしいのは、「はやりのダイエット法だからといって、必ずしもあなたに向いているとは限らない」ということ。人にはそれぞれ体質に違いがあります。そこで今、女性に人気の漢方医学の見地から、体質別のダイエットを考えてみました。

ダイエットには向き不向きがある

 最近、「アンチエイジング」をうたった高価格帯の化粧品を購入する20代の女性が増えている――という記事を新聞で読みました。若い女優さんが、栄養ドリンクを飲んでいるテレビCMもよく見ます。美容や健康に関心をもつ女性が増えているようですね。
 それはそれで好ましいことなのですが、その方法が「あなた」にとってピッタリではなかった場合、かえって肌の調子が悪くなったり、体調を崩したり、老化を早めかねないのも事実です。
 ダイエットも同様。たとえば「生野菜サラダ+ノンオイルドレッシング・ダイエット」「1日2リットルのミネラルウオーター・ダイエット」「1日1食、夕食だけとるダイエット」などなど、世の中にはダイエット法と呼ばれるものが星の数ほどありますが、自分にとっての向き不向きを考えないと、十分な効果は得られません。
 私の患者さんの中でも、「人生すべてがダイエット」と言い、10代のころから、りんごダイエット、オオバコダイエット、バナナダイエット、黒酢ダイエット、脂肪燃焼スープ・ダイエット……と、時々にはやった方法は「ほとんどすべて試した」というアラフォー女性がいます。
 そのエネルギッシュな行動力は買いますが、時間と労力、投資を考えると、「体質を知っていたら、もっと有効な方法があったはずなのに……」と、残念な気持ちになりました。
 それでは一体、どうすればよいか。漢方医学の見地からダイエットを考えた場合、次の3つの体質が基本となります。まずは自分がどのタイプか、チェックしてみましょう。

最適ダイエットを知る3つの体質

(1)エネルギー飽和の食毒体質
 食べた物が体内に停滞するタイプです。大抵は食事スタイルに問題があり、食べ過ぎ(過食)が典型的。ほかにも「揚げ物好き」や「インスタント食品+スナック菓子の組み合わせ好き」、女性にありがちな「ランチはケーキ・バイキングで」といった、脂肪過多も当てはまります。
 体に入ってくるエネルギーが、放出するエネルギーよりも多く、常態化して余分なエネルギーを体内にため込んで太るという、肥大化スパイラルに陥っています。
(2)血液循環が悪いお血体質
 漢方でいう「血(けつ)」の流れが滞っているタイプです。若い女性にもよく見られる冷え症は、このタイプに当てはまります。漢方では「気=エネルギー」「血=血液」「水=血液以外の体液」の3つが、バランスよく体内を巡っている状態を健康だと考えます。そのうちの「血」が、体のすみずみまで行きわたらず、末端まで栄養が届いていない状態をお血と呼びます。
 とり入れたエネルギーを十分に燃焼できないうえ、老廃物もたまりやすくなって、太ってしまいます。
(3)水分をため込む水毒体質
 漢方でいう「水(すい)」のめぐりが悪いタイプです。「水」とは血液以外のリンパ液や汗などで、これらが体内のどこかで滞っていたり、不足していたり、過多になって「水はけが悪い」状態になっています。むくみやすい人は要注意。いわゆる水太りを起こしやすい体質です。
 このような体質の人は、節食など食事スタイルを工夫したダイエット法は、あまり効果がありません。

 チェックが最も多くついたタイプが、今のあなたの体質です。自分がどのタイプにあてはまるか、分かりましたか? それでは次に、タイプ別に適切なダイエット法を説明しましょう。

身近な漢方知識で体質別にやせる

(1)食毒体質のダイエット
 食べ過ぎタイプの場合、食事量を調整してカロリーをコントロールするダイエット法が向いています。腹八分目を基本に、朝食・昼食・夕食の食べる量を10 : 8 : 6にするよう心がけるなど、エネルギーの出納バランスに意識を向けましょう。
 揚げ物やケーキ好きの「脂肪過多な人」は、栄養バランスに気をつけることが大事。まずは、たんぱく質をとることを意識して。高たんぱく、低脂肪の豆腐や鶏ササミ肉などがおすすめです。
 また、便秘がちな人は、解消すると太りにくくなる効果が期待できます。水分をとるダイエット法が有効なタイプでもあります。体を意識的に動かして、運動不足を解消する生活習慣も忘れずに。
(2)お血体質のダイエット
 血行をよくすることがポイント。ストレッチで筋肉を伸ばすなど、手足の末端まで血液が行き届くように心がけましょう。入浴はシャワーではなく、湯船につかることも効果があります。
 やせて見えるように! と、体のサイズよりも小さ目の、きつく感じる下着類を身に着けることは、かえって血行を悪くします。おすすめしたい食材は、ニラ、タマネギ、サフラン、イワシ、黒豆、黒米などです。
(3)水毒体質のダイエット
 水分を多くとるダイエット法が、まったく向かないタイプです。胃腸が弱く、食べ物や飲み物をうまく消化できず水太り状態にあるので、胃腸を丈夫にして、体内の余分な水分を外に出すことを心がけましょう。
 そのため、手軽なダイエットとして実行しがちな「ランチは生野菜サラダだけ」といった方法は、カロリーだけを見ると低いのですが、生野菜が体を冷やし、胃腸の働きも悪くしてしまうので逆効果です。
 水分が欲しくなる塩分は控え、飲み物は常温か温かいものを。冷たい飲み物をとりたいときは「氷なし」で。ポチャポチャと音がするお腹は腹巻で、また足のむくみは足湯で温めてください。

35歳を過ぎたら加齢太り対策も!

 最後に、「食べる量は以前と変わらないのに、太りやすくなった」「1食抜くと以前は体重が簡単に落ちていたのに、今は変化がない」と感じている方へ。それは1~3の体質に加えて、加齢によって基礎代謝が落ちているために太りやすい(やせにくい)体質になっていることが原因かもしれません。
 中国医学の古典「黄帝内経素問」という書物に、女性の体は7歳ごとに節目を迎えると記されています。それによると、女性の健康や美容のピークは28歳。さらに、その7年後の35歳から「容姿の衰えが見え始める」とあります。
 ダイエットについても、このあたりの年齢を境に、体質に加えて「加齢太り」対策を心がける必要があります。
 食事にあたっては、昆布、ワカメ、のり、ひじきなどの海藻類、黒豆や黒ゴマといった黒い色の食材や、ヤマイモやオクラなどのネバネバ食材を、意識してとるといいですよ。
 また、年を重ねると、誰でも基礎代謝が落ちるわけですから、「太りにくい体づくり」を目指すように意識することも大切です。ポイントは、「筋肉をつける」こと。筋肉によって体の約60%の熱を作り出しているので、筋肉をつけることは、エネルギー代謝が増すだけでなく、冷えの改善にもつながります。ぜひ、筋トレも習慣化してほしいところです。
 ちなみに、男性は8歳ごとに節目がきます。ピークは32歳で、40歳から老化が始まるとされています。

著者情報

東京女子医科大学東洋医学研究所副所長・准教授

木村容子

きむら ようこ

お茶の水女子大学卒業。中央官庁入省、オックスフォード大学大学院留学を経て東海大学医学部に学士入学。日本内科学会認定医、日本東洋医学会専門医・指導医。著書に『女40歳からの「不調」を感じたら読む本』(2010年、静山社)、『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(2014年、さくら舎)、『カラダとココロの「プチ不調」に気づいたら』(2014年、静山社)他。

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